主要なCMSの特徴(WordPress編)

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「ホームページを自分で更新したい」という要望を叶えるためのツールそれがCMSContents Management Systemの略)です。
10数年前まではWordPressをはじめメジャーからマイナーまで百花繚乱の体をなしていましたが、現在は主要なCMSに収斂してきたかの感があります。
そこで今回から数回に渡り、主要なCMSの特徴とメリット・デメリットなどをご説明したいと思います。
その初回となる今回は、CMSを語る上では絶対に外せない「WordPress」についてご説明します。

WordPressについて

CMSの定番で、もはやCMSのデファクト・スタンダードと呼んでも差し支えないでしょう。
サイト構築にCMSを使用している比率は全世界で約67%ですが、その中でWordPress(以下WPと略)のシェアは64.2%、世界中のWebサイト全体の中でのシェアは43%と、驚異的な普及率を誇っています(いずれもW3Techsの調査、2022年)。
CMSWordPressのこと」と認識されている方も少なくないでしょう。

最近の動向

WPもここ数年は大きな動きはありませんが、直近(といっても既に6年前ですが…)の話題としては、2018年のバージョン5.0から採用された入力システム「グーテンベルク」の導入でしょうか。
これは投稿を構成する各コンテンツを「ブロック」という単位で作成していくというもので、他のCMSでは「ブロックエディター」などと呼ばれていることもあります。
それまでのWordライクな「クラシックエディタ―」から操作方法がガラリと変わったため、クラシックエディタ―に馴染んでいた方からは強烈な拒否反応が出ていたりしますが、慣れれば直感的に操作できるので、こちらの方が扱いやすいかも知れません。

ただ「クラシックエディタ―の方が使いやすい」という方は結構いらっしゃる様で、当初は2021年頃に「クラシックエディタの開発を終了する」とアナウンスされていたものの、ズルズルと延期になり、現在(2024年5月)も未だ開発終了とはなっていません。

 

WordPressのメリット

WPを使うメリットは様々ありますが、まずは何といっても「無料で利用できる」という点が大きいのではないかと思います。
また基本機能を拡張するための「プラグイン」も豊富で、機能の拡張性に優れている点もメリットとしては見逃せないでしょう。例えば会員制のサイトやECサイトなども、プラグインを導入することでWPでも構築することができます。
この他実際に利用しているユーザー数が多いので、WPについて疑問に思った点なども、インターネット上で簡単に情報を見つけることができるでしょう。扱っているWeb制作会社も多い…と言いますかWPを扱えなければ、もはやWeb制作会社とは呼べない様な気もしますが…ので、例えばA社で制作したWPのサイトを、B社で保守・改修してもらう様なことも可能かと思います。

WordPressのデメリット

逆にWPを使う上でのデメリットとは何でしょうか?
これはデメリットというよりもリスクの話になりますが、ひとつは「セキュリティ対策の難しさ」です。
世界中で広く使われているCMSだけにハッカーなどの標的になりやすく、しっかりとした対策をしていないと、アッという間に改ざんの被害や乗っ取り被害に遭ってします。
これによって個人情報の漏えい事故などを引き起こした場合はもちろん、特段の被害が発生しなかった場合でも、ネット上のセキュリティ関連サイトやSNSなどで会社名を晒されることもあり、そうなりますと間接的な風評被害も発生し得ます。

またこれに関連して、「アップデート作業の難しさ」があります。
WPは主にセキュリティの観点から、常に最新の状態を保つことが推奨されていますが、プラグインを多用していると「本体をアップデートしたら、プラグインが動作しなくなった」などの事態が発生することがあります。また逆のパターンも起こり得るため、アップデートには細心の注意を払う必要があります。

そもそもプラグインは有志の個人が開発しているケースも少なからずあり、その様な場合最新バージョンへの対応やバグの修正、開発の継続などは、開発者個人に依存していることになります(メジャーなプラグインの場合は、この限りではありませんが)。使用していたプラグインが突然開発終了になる…従ってそれ以上、セキュリティ的にアップデートされなくなる…リスクもありますので、サイトの根幹に関わる部分で動作するプラグイン(例えば会員制サイト構築プラグイン、ECサイト構築プラグインなど)の導入には、慎重の上にも慎重を期す必要があります。

意外とかかる? WordPressの維持費用

WPのセキュリティ対策やアップデート対応などを制作会社に依頼するケースもありますが、そうしますと当然に作業費用が発生します。
スポットで対応をお願いするパターンもありますが、保守扱いで通年のメンテナンスやシステムの監視などをお願いするパターンもあるでしょう。
これらの対応をせずに使い続けることも勿論可能ですが、弊社としてはお勧めしません。
セキュリティ対応をしない、またはWPのシステム及びプラグインをアップデートしないまま使用し続けることは、例えれば「車検の切れた車で、毎日公道を走る」ようなもので、遠からず何らかの不具合が発生するか、またはセキュリティ上の被害に遭われること必定です。
逆に万全の状態でWPを使い続けようとしますと、WPは初回のライセンス料こそ発生しませんが、上記の理由で以外と「安く」はありません。

サイトの構築を考えている、特にWPを使って構築しようとされている方は、上記のリスクとコストについても十分ご検討いただければと思います(これは私自身、心の底からそう思います…改ざん被害に遭って事業が頓挫した、または風評被害に遭い、その火消しに多大な労力を要した事例をいくつ見てきたことか…)。
WPは他のCMSに比べるとアップデートの頻度が高く、それにつれて要求されるPHPやMySQLのバージョンもどんどん上がっていきます。サーバーによってはこれらPHPMySQLのバージョンアップがWPのバージョンアップに追いつかず、故にWPの最新版をインストールできない…という事態も発生し得ます。WPの使用を前提としている場合は、サーバーの選定にも留意する必要があります。

また「オープンソース」なので、「プログラムのソースコードは非公開でなければならない」ですとか、「著作権は自組織に帰属しなければならない」などの条件が必須の場合(例えば公共団体や自治体、大手企業のサイトなど)、WPはその条件に適合しませんのでご注意ください。

総合評価

機能性★★★★★(プラグインが豊富。但し野良プラグインには注意!)
導入のしやすさ★★★★★(扱える制作会社が多い)
安全性★★★☆☆(制作会社に保守もお願いするのがベター)
安定性★★★★☆(構成や使用条件にもよりますが、まずは安定的に動作するでしょう)

WPでのサイト構築をお考えの方! 正文舎ではWPを使ったサイト構築は勿論、リリース後の保守やコンサルも含めてご提案可能です。経験豊富で制作事例も多数ございますので、お気軽にご相談ください!

Author of this article

千野 朋樹

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